【考察】『本の「使い方」1万冊を血肉にした方法』(出口治明著) 10冊のビジネス書より1冊の〇〇を読め!
最近沖縄から帰ってきた烈志(@Tsuyopon_0123)です。
ある日、「何かいい本ないかなー」と図書館の棚を眺めていると、一冊の本に目が止まりました。
それが、ライフネット生命創業者の出口治明氏(@p_hal)の著書『本の「使い方」1万冊を血肉にした方法』です。
「1万冊を血肉にしたて、歩く図書館かよ」と思ったのと同時に、羨ましいとも感じました。
僕も、死ぬまでにできるだけ多くの本を読みたいと思っているので。
今回は、本書の中で「これは」と思った箇所をピックアップして考察してみようと思います。
目次
なぜ古典を読む必要があるのか
「10冊のビジネス書より1冊の古典を読むべし」
これが、著者の最も言いたいことだと感じました。
筆者自身も多数のビジネス書を書いておられます。
そんな彼から見ても、優れた本というものは滅多にないのだそうです。
古典が優れている理由
なぜビジネス書も書く筆者がこれほどまでに古典を勧めるのでしょうか?
そこには4つの納得の理由がありました。
「古典が優れている理由」
— 烈志@エクスプローラー (@Tsuyopon_0123) 2017年9月21日
①時代を超えて残ったものは、無条件に正しい。
②人間の基本的、普遍的な喜怒哀楽を学べる。
③ケーススタディとして勉強になる。
④自分の頭で考えるチカラを鍛錬できる。
『本の使い方』より
①時代を超えて残ったものは、無条件に正しい。
古典は、「なぜ残ったのか、その理由も理屈もよくわからないものもあるが、マーケットに選ばれてしぶとく残ったもの」です。
すべての人が優秀だということはありません。
どの時代にもアホな市民や著者はいる。
そんな中で、今も残っている著作物には、何かしら残った理由があります。
著者は「古典は無条件に正しい」と強く断言していますが、「正しいと仮置きすべき」ということです。
②人間の基本的、普遍的な喜怒哀楽が学べる
人間はどんどん進化していると思われがちです。
しかし、進化しているのは「技術」だけ。
例えば、ウォシュレット誕生の背景には、「清潔にするための手段の進化」があります。 「清潔にしたい」という感情が進化したわけではないのです。
さて、人間の歴史を考えた時に、進化していないものは何でしょうか?
それは、人間の「脳」です。
人間の能力や脳の動きは、1万3,000年前から進化していないと言われています。
その証明として挙げられているのが、3大悲劇詩人アイスキュロス、ソポクレス、エウリピデスによって書かれた悲劇です。と言われた、
もし脳が進化しているとすれば、この3人の天才の作品を超えるものがすでに世に出ているはず。
しかし、実際はどうでしょう。
彼らが亡くなってから2,500年、彼らを超える作品は生み出されていません。
つまり、人間の本質的、根源的、普遍的、基本的な喜怒哀楽は、最高の天才によって古典の中で明らかにされていると言えるわけです。
③ケーススタディとして勉強になる
古典は、生活の様々な場面におけるケーススタディになると、筆者は言っています。
例えば、ビジネス。
仕事をしていると、様々な相手と出会います。
腹黒い人、寛大な人、冷たい人、温厚な人などがいます。
仕事で失敗したり、鬼のような上司に出会ったとしましょう。
腹を立てたり、落ち込んだりするかもしれない。
しかし、例えば『韓非子』(岩波文庫)を読んでいれば、動じることはありません。
「世の中にはいろいろな人がいて大変だけど、人間はいつまでたっても変わらないんだなあ」と納得できます。
古典を読めば、人間と人間社会に対する認識を比較的簡単に得ることができます。
一からすべて自分で考えなくとも、「巨人の肩に立って」、先人が積み重ねた教養をありがたく利用させてもらえばいいのです。(p.97)
④自分の頭で考える力を鍛錬できる
人間の思考力はどのようにして鍛えられるのでしょうか?
私たちが乳児だったころのことを考えましょう。
私たちは生まれた時から、人間の声を大量に聞いていました。
その大量の「インプット」があるからこそ、私たちは話せるようになるわけです。
それは思考にも当てはまります。
きちんと書かれたテキスト(古典)を一字一句丁寧に読み込んで、著者の思考のプロセスを追体験することによって、人間の思考力は鍛えられるのです。
普通の人が書いた本と、アダム・スミスや、アリストテレス、デカルトといった超一流の先生が必死に書き込んだ古典とでは、どちらが思考力を鍛えることができるでしょうか?
古典を手に取ってみよう!
古典がいかに優れているか、理解していただけたでしょうか。
「早速、古典読んでみよう」と思われた方もいるかと思います。
しかし、基本的に古典は厚く、途中で挫折する可能性があります。
そこで、古典をあまり読んだことのない人のために、次のような本の選び方が薦められていました。
①書店や図書館で、薄い古典を10冊ほどピックアップする
②タイトルを眺めて、気になる作品を2~3冊選ぶ
③読んでみて面白ければ、そのジャンルを広げる
①の薄い本ですが、「岩波文庫」か「東洋文庫」から選べば問題ないそうです。
解説書ってどうなの?
難しい文章が苦手な人にとって、解説書はありがたい存在ですが、筆者は解説書を薦めていません。
二流、三流の翻訳者が我流に注釈を加えた解説書を読んでも、本物の思考を追体験することはできないからです。
しかし、解説書の中にも優れたものはあります。
その一つとして、『書物誕生』シリーズ(全30巻)が挙げられています。
『書物誕生』は、学問の最前線で活躍する気鋭の著者が、東西の代表的な古典を取り上げ、その古典が生まれた時代背景や、古典のもつ歴史的な深みと広がりについて言及するシリーズです。
「最初から原典を読むのはしんどい」と感じる人は、これから始めるのがいいと思います。
まとめ
SNSをやっていると、ベストセラーになった本の情報がたくさん流れてきます。
尊敬する人が薦めているという理由で、すぐポチる人もいるのではないでしょうか。
しかし、その時に読むべき本というのは、その人の成長レベルで変わってきます。
新卒の会社員や学生などは、ビジネス書を読み漁るよりも、まず古典に手をつけるのがベストだと思います。
僕もたくさんの本を読んできましたが、古典はまだ読んだことがないので、一冊買ってきてじっくり読みたいと思います。